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あいの向こう側
第21章 ぬれたま
学校の女子たちは可愛いけどうるさい。
さりげなさを装って、
つけまをしたりアイプチをしてる。
グロスを塗っていたり。
いかにも「勉強にきましたから!」という体(てい)でメイクをしてるヤツらには少し醒めてしまう。
___目の前にいる子は、
メイクっ気が全くない。
というか…………
真っ白だ。
唇だけが太陽のように紅い。
『……………ええと…………
洗って返しますね』
ハンドタオルが水に浸したように濡れている。
俺は女子から目を離した。
『あー、うん。
いつでもいいし………
つうかドコ校?』
俺は尋ねた。
『私はT学園女子。
遠いんだよね』
『へぇ?
俺はS高校。
T学園て全くバスの方角違くない?』
『私、今祖母の家にいるの。
叔父と2人だけ。祖母は入院してて。半年間くらいバス通になるんだ』
女子は前の席に座ると、
振り返って俺に話す。
淡々とした話し方。
低い声だ。
_____うるさくない。
耳に入ってきた女子の声は、
心地いい。
『シノザキ、くん?』
不意に名前を呼ばれ、ぎょっとした。
『え、何で名前知ってるの』
『…………これに書いてあるから』
女子がハンドタオルを翳す。
Sinozakiとあった。
母さんの下手くそな文字だ……………
さいあく。
『シノザキ何て言うの?
私は山倉まい【やまくらまい】』
『篠崎涼【しのざきりょう】』
ふーん……………
山倉まい。
大人しそう。
S高校と言うと、大体嫌な顔をされるか「すごーい!」と鼻ががった声でわざとらしく褒められるかどっちかだ。
山倉まいは、
どちらでもなかった。
『よろしくね』と言い軽く頭を下げ、
スッと前を向く。
俺は頷き返しながら、
山倉まいの小さな頭をぼんやり眺めた……………………………………………
(半年間かぁ……………)
さりげなさを装って、
つけまをしたりアイプチをしてる。
グロスを塗っていたり。
いかにも「勉強にきましたから!」という体(てい)でメイクをしてるヤツらには少し醒めてしまう。
___目の前にいる子は、
メイクっ気が全くない。
というか…………
真っ白だ。
唇だけが太陽のように紅い。
『……………ええと…………
洗って返しますね』
ハンドタオルが水に浸したように濡れている。
俺は女子から目を離した。
『あー、うん。
いつでもいいし………
つうかドコ校?』
俺は尋ねた。
『私はT学園女子。
遠いんだよね』
『へぇ?
俺はS高校。
T学園て全くバスの方角違くない?』
『私、今祖母の家にいるの。
叔父と2人だけ。祖母は入院してて。半年間くらいバス通になるんだ』
女子は前の席に座ると、
振り返って俺に話す。
淡々とした話し方。
低い声だ。
_____うるさくない。
耳に入ってきた女子の声は、
心地いい。
『シノザキ、くん?』
不意に名前を呼ばれ、ぎょっとした。
『え、何で名前知ってるの』
『…………これに書いてあるから』
女子がハンドタオルを翳す。
Sinozakiとあった。
母さんの下手くそな文字だ……………
さいあく。
『シノザキ何て言うの?
私は山倉まい【やまくらまい】』
『篠崎涼【しのざきりょう】』
ふーん……………
山倉まい。
大人しそう。
S高校と言うと、大体嫌な顔をされるか「すごーい!」と鼻ががった声でわざとらしく褒められるかどっちかだ。
山倉まいは、
どちらでもなかった。
『よろしくね』と言い軽く頭を下げ、
スッと前を向く。
俺は頷き返しながら、
山倉まいの小さな頭をぼんやり眺めた……………………………………………
(半年間かぁ……………)