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あいの向こう側
第21章 ぬれたま
(てか、鎖骨にこんな堂々と………………)


『何聴いてるの?』
まいは俺のイヤホンを片方取ると、
耳に当てた。


『洋楽かぁ…………
よく分からないなー』
直ぐに戻してきた。



そして、
何事もなかったように窓を見上げている。




_____この子が喘ぐ様子ねぇ…………




まいの視線が遠くを向いたのを良いことに、
俺はまじまじとまいを眺めた。



(あ、やべ………)

まいの整った顔が歪むさまが浮かび、
戸惑う。



『お祖母さんは元気なの?
昨日、言ってたよね』

俺は話題を振った。


まいがクルッとコチラを向く。


『え?ああ、うん。
すっごく厳しいの、お祖母さん。
叔父…………さんは、普通だけど…………』

まいは俯いた。



聞いちゃ不味かったかなと思い、
『そうなんだ。
ウチは母子家庭ってやつ。
母親とふたり。
母親、家事が下手くそでさぁ………………』
俺は自分の話をした。


まいは頷きながら聞いている。


鎖骨を見ないように努力しながらのバス通。



______彼氏いんのかな………


訊いてみたいけれど、
不躾だし下心丸出しだなと思って我慢した。



がっついてると思われたくなかった。



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