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あいの向こう側
第23章 か・わ・い・そ・う
服を脱ぐのに1万円。

下着を外すのに2万円。

ペッティングに15000円。



『ああ~~~~…………サナ様ぁー』

オプションサービスに発展するよう、
焦らす。足指先を舐めさせて、
既に15分経過している。




『そんな舐めかたで満足すると思ってんの?
だらしなく膨らませたモノ、
ゴミ同然よ。役立たず』


サナは片方の足先で膨らんだブリーフを擦る。




『ああっ……………!

サナ様、
あなたのスーツに触りたい…………』


おっさんは涎を垂らしていた。



『触りたいの?
そう……………じゃあ、少しだけご褒美ね…………』




サナは足を引き、
床に膝を着いて屈む。




実雪の頭の中では福沢諭吉が高笑いしている。


______ママは、
私生児で実雪を生んだ。



実雪だって小学生の頃には理解していた。


「父親になれない男の子ども」なんだと。


即ち、家庭持ちだ。



ママは看護師をしていたから生活は苦しくなかった。
おじいさん・おばあさんという存在は知らないけれど、

ママは実雪に当たり散らしたりしないし……
男と付き合ったりもない。


ケンカは沢山したし、してるけど。



実雪にはママしかないのだ。


それと、
自分のこれからと。



同級生は彼氏を作ってデートだのHだのと忙しい。
親友と呼べるような仲の良い子はいない。
友達なら何人かいて、
みんな互いに一定以上立ち入らない。

孤立しないための予防線。
それが実雪には楽だ。



_____だからママがいよいよ動けなくなってきて「飲食店の厨房でバイトする」という実雪に、
誰も疑心は持たなかった。


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