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あいの向こう側
第23章 か・わ・い・そ・う
そうだ。


もう少し、からかってやろっと。



サナは『フン。
待ちなさい?特別にしてあげるわ、このサナ様が』
と鼻を鳴らしバッグから携帯を取り出した。



ツカツカ戻り、
ハゲ男に『どうしたいの?
言ってごらん?』とキツく言う。


『さ……………触らせてくださいっ………』
頬を紅潮させ、
ハゲ男はサナを見上げた。
ワイシャツのボタンを外して下着が見えている。
オヤジが着る、ダサい下着だ。



カシャッ。

スマホで写真を撮ってやる。



『…………………えっ……………』
ハゲ男は驚く。

『どお?
シャッター越しの顔、滑稽よ』
興奮してきた。クックックックッと自分のものとは思えない笑いが出る。



カシャッ、カシャッと何枚もボタンを押す。




『____何するんだ!!やめろ!!』
突然、ハゲ男が立ち上がりスマホを奪う。


『何すんのよ!返しなさいっ』
サナは慌ててハゲ男のワイシャツを掴む。



『写真なんて聞いてないぞ!
私には会社での立場だってあるんだっ』
激昂するハゲ男。


スマホを取り返したサナは、
怒りが湧いた。

『は?
バッカじゃない?こんなトコに来といて、
撮られるのが嫌だもないでしょ!!
虐げられることでしか興奮しないのに』

____教室が浮かぶ。
泣いている眞麻。

寄り添う友人たち。


イラッとして、さらにシャッターボタンを押す。

カシャッ。
カシャッ。


『このガキ!!
なめやがって……………』
ハゲ男は顔を真っ赤にし、
サナを殴った。



一瞬、目の前が白く光る。左頬が麻痺したような、変な感覚。

_____え………………


ハゲ男の太い指先が首を掴んでいた。


『何す………、警察呼ぶわ…………よっ……』


めり込んでゆく指先。


『つけあがるんじゃないぞ!!!ふざけやがって』
ハゲ男の指先の力は強い。



薄れてゆく意識。息ができない……………!

恐怖から、足が竦んでしまった。
力が入らない。
手が空中を引っ搔く。







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