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あいの向こう側
第26章 境界線
空が泣いている。
いつになくセンチメンタルな気持ちで、
俺は空を見上げた。
黒い傘から覗く、暗い空。
俺は視線を足元に戻し歩き出す。
(ねぇ、わたしのどこがいけないの?)(いい加減にして!)(何で話聞かないの?)
昨日から他人になった里奈【りな】。
いつも朗らかに笑っていた彼女。あんなに怒った姿は、
脳裏に焼き付いている。
激しく愛し合った夜もあったのに。
どちらが悪いとかじゃない。
少しずつすれ違っていった。
___習慣とは恐ろしいものだ。
一つの恋___しかも熱烈な___が終わって、
ボロボロだというのに朝起床し、
顔を洗ってヒゲを剃り軽食を摂ってスーツに着がえてマンションを出、駅を利用した。
**********
「あれぇ?
先輩、元気ないですよぉ??風邪ですかぁ?」
5歳下のアカネちゃんが俺の顔を覗き込んだ。
「そうか?
いつもと変わらないけどね」
社内だから露骨に表せないが、
アカネちゃんの粘りつくような喋り方が勘に障る。
落ち込んだり、
嫌な出来事があった時『泣きっ面に蜂』は当然のようにやってくる。
俺は先週に提出した書類で凡ミスをし、
課長にこっぴどく叱られた。
「だいじょぶですかあ?
あんなに怒んなくていいのになあ、こっわーい」
通りすがり、アカネちゃんが間延びしたように声を掛けてきた。
いつになくセンチメンタルな気持ちで、
俺は空を見上げた。
黒い傘から覗く、暗い空。
俺は視線を足元に戻し歩き出す。
(ねぇ、わたしのどこがいけないの?)(いい加減にして!)(何で話聞かないの?)
昨日から他人になった里奈【りな】。
いつも朗らかに笑っていた彼女。あんなに怒った姿は、
脳裏に焼き付いている。
激しく愛し合った夜もあったのに。
どちらが悪いとかじゃない。
少しずつすれ違っていった。
___習慣とは恐ろしいものだ。
一つの恋___しかも熱烈な___が終わって、
ボロボロだというのに朝起床し、
顔を洗ってヒゲを剃り軽食を摂ってスーツに着がえてマンションを出、駅を利用した。
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「あれぇ?
先輩、元気ないですよぉ??風邪ですかぁ?」
5歳下のアカネちゃんが俺の顔を覗き込んだ。
「そうか?
いつもと変わらないけどね」
社内だから露骨に表せないが、
アカネちゃんの粘りつくような喋り方が勘に障る。
落ち込んだり、
嫌な出来事があった時『泣きっ面に蜂』は当然のようにやってくる。
俺は先週に提出した書類で凡ミスをし、
課長にこっぴどく叱られた。
「だいじょぶですかあ?
あんなに怒んなくていいのになあ、こっわーい」
通りすがり、アカネちゃんが間延びしたように声を掛けてきた。