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あいの向こう側
第26章 境界線
____普段からあまり怒らない質だ。


神経質でもない。


が、通りすがった際瞬時に沸騰したように怒りが湧いた。

昼前。

廊下にはアカネと俺以外は誰もいない。



「ちょっと、来い!」

俺はアカネの腕を引っ張った。

「きゃあっ…………」

アカネの体は細く、背も小さい。


里奈とは違う……………


資料室にアカネを引きずり込んだ。


「や、先輩っ………どうしたんですかあ」

__こんな時に。
こんな時まで粘つく喋り方。



俺はアカネを押し倒した。

資料室は書類の棚だらけで、
いわば倉庫である。


誰も来やしない。



アカネは尻もちをついた。

俺はサラサラのボブカットの髪を見て、
アカネのタイトスカートの裾を捲り上げた。


「ひゃんっ、先輩ぃっ………あん!」

俺は無我夢中でアカネを犯した。












はあ、はあ、はあっ…………


破れたストッキングと、膝に引っかかったショーツ。

はだけたシャツからブラジャーが顔を出していた。


俺はズボンのジッパーを開いたまま、茫然とした。



アカネは仰向けで、
ネジが止まった人形のように動かない。


マズイ。

やってしまった_____…………



時すでに遅し。




アカネは頭を起こし、
涙を溜めた目で俺を睨む。
「先輩、一体どうしたんですかあっ……、
らしくないですようっ……」




怒らないのか。




ふー、と息を吐くアカネ。

服を直す。

「…………ちゃんと、したかったなぁ……………」

破れたストッキングを脱いで、
パンプスを履き直すとアカネは泣き笑いの顔でそう言い「気にしないでください。訴えたりしないから。ピル飲んでるし、あたし」
バタバタと資料室を出て行った。




俺は愕然とした。



アカネは、まさか俺を………好きなのか?

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