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あいの向こう側
第28章 BIG BORN!
『ただいま…………』
マンションに着いた。
あら珍しい、ママのヒールがある。
『ママー?居るのー?』
声をかけながらリビングに入ると、
ドレッシーな恰好をしたママがソファで寝ていた。
『……………んあ。
あ?あーおかえり。お腹空いたねぇ』
『それは暗に作れって言ってんの?
もー、
ママストッキング脱ぎっ放しじゃん………』
ラメ付きのバッグも転がってる。
『あんた、未だ反抗期?
蕎麦でいいよ~』
あたしは制服のまま仕方なくキッチンに立った。
ママはバカである。
このマンションはママ1人の稼ぎで購入した。
もちろん女社長だとか、
そういう類の稼ぎじゃなくてお水だ。
何故1人で稼ぐ羽目になったかと言うと、
パパが女を作ってドロンと消えたからである。
あたしがママのお腹にいる時に。
何年もかけて、
クラブの指名ナンバーワンホステスを獲得する話術を身につけたママ。
しかしやはりバカなのは、
あたしの名前だ。
『哀~、
玉子落としてよぉ』
『分かってるー!』
あたしは菜箸を握って怒鳴る。
高橋哀。
たかはしあい。響きはまだ良しとしても、
漢字がおかしい。
以前「何故この漢字なのか」と問い詰めたところ、
『なんとなく?』と言われ空いた口が塞がらなかった。
あたしとママは顔が瓜二つらしい。
つーことであたしもバカなのだ。
無理やり告白を断っていれば、
孤立しなかったのに。
マンションに着いた。
あら珍しい、ママのヒールがある。
『ママー?居るのー?』
声をかけながらリビングに入ると、
ドレッシーな恰好をしたママがソファで寝ていた。
『……………んあ。
あ?あーおかえり。お腹空いたねぇ』
『それは暗に作れって言ってんの?
もー、
ママストッキング脱ぎっ放しじゃん………』
ラメ付きのバッグも転がってる。
『あんた、未だ反抗期?
蕎麦でいいよ~』
あたしは制服のまま仕方なくキッチンに立った。
ママはバカである。
このマンションはママ1人の稼ぎで購入した。
もちろん女社長だとか、
そういう類の稼ぎじゃなくてお水だ。
何故1人で稼ぐ羽目になったかと言うと、
パパが女を作ってドロンと消えたからである。
あたしがママのお腹にいる時に。
何年もかけて、
クラブの指名ナンバーワンホステスを獲得する話術を身につけたママ。
しかしやはりバカなのは、
あたしの名前だ。
『哀~、
玉子落としてよぉ』
『分かってるー!』
あたしは菜箸を握って怒鳴る。
高橋哀。
たかはしあい。響きはまだ良しとしても、
漢字がおかしい。
以前「何故この漢字なのか」と問い詰めたところ、
『なんとなく?』と言われ空いた口が塞がらなかった。
あたしとママは顔が瓜二つらしい。
つーことであたしもバカなのだ。
無理やり告白を断っていれば、
孤立しなかったのに。