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あいの向こう側
第28章 BIG BORN!
翌日、補修を受けに学校へ向かった。


『う』
門扉をくぐると、

女子の塊がこちらを睨む。


部活動はあるんだった。


『ねー、アレが想眞くんとなんてあり得ないよねー』

『うんうん。
美里(みさと)ちゃんのが似合うのに~』

『ボッチ根暗は一人でいて~』


休みとあってか、塊は姦しい。



しかしいつも納得するあたしなのに怒りが湧いた。

何で外野に言われなきゃならん。

想眞くんがそー言うなら仕方ない。

だけど告白してきたのも先に好きになったのも想眞くんだよ?!


あたしはバッグを抱え、
塊に向かってスタスタ歩く。

『なっ、なによっ』

『あんた何なのよっ』

『何する気?!』


君たちは誤解している。
バカは怒らせると怖いのだ。

あたしは思いっきり息を吸い込んだ。

『わーーーーー』
叫びながら、バッグをブンブン振る。


バカだから語彙力ナッシング。


『うわっ!』『きゃああー』
逃げる女子たち。



構うもんか。


美里とやらを追い回した。


散って逃げていく女子を見、
肩ではぁはぁ息をする。




ポーン。


頭に何かが当たった。



『そこの人-、投げて貰えますかぁ~~』

転がったのは軟式野球ボール。




ふぅふぅ息をしながら、
あたしはボールを掴んで投げた。



弧を描きながら。

あたしが投げたボールは、
校庭の部員にワンバウンドで届いた。







想眞くんの友達(軟式野球部)から武勇伝が想眞くんに語られたのは、

2日後の月曜日のこと。




あたしは今日もママが必死で稼ぎ手に入れたマンションに帰るのだ。




















〔終〕
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