この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あいの向こう側
第29章 旅立ち
〔おばさま〕は、母親の姉妹でもないし血縁関係すらないのだ。
車か発進した。
わたしはチラリと振り返ってから、
前を向いた。
涙が流れる。
『あちらに着くまでに、
名残全て捨てるんだよ。
このご時世に中学生を買うだけで母親と祖母の病院費用を出してくれる人などそうそういないのよ』
わたしは、
スカートを握りしめた。
変わらなければならないのだろう。
強く、強く。
これで母親と祖母が救われるのだから。
外は粉雪が舞っていた。
わたしの涙も、形になり風に吹かれて消えればいいとただただ願った。
〔終〕
車か発進した。
わたしはチラリと振り返ってから、
前を向いた。
涙が流れる。
『あちらに着くまでに、
名残全て捨てるんだよ。
このご時世に中学生を買うだけで母親と祖母の病院費用を出してくれる人などそうそういないのよ』
わたしは、
スカートを握りしめた。
変わらなければならないのだろう。
強く、強く。
これで母親と祖母が救われるのだから。
外は粉雪が舞っていた。
わたしの涙も、形になり風に吹かれて消えればいいとただただ願った。
〔終〕