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あいの向こう側
第4章 あの日の続き
実家があるのは山陰地方の海に面した田舎町。
地元スーパーに行けば必ず誰かしら知人に遭遇するという、
小さな町だ。
奈美が実家に戻ると、
近所の人たちや地元の同級生が顔を見に来てくれた。
『…こんにちは』
その中の1人に、
小学校の同級生だった八幡祐二【ヤハタユウジ】が居た。
奈美は呆けたように過ごしていたが、
祐二の顔を見た途端現実に戻ってきた。
『……あ…………』
実家のリビングに座る奈美。
おずおずと入ってきた祐二…………
祐二は気まずそうにきょときょと目を揺らす。
(覚えてるのね………)
その挙動で分かった。
あれは、
小学校5年生の夏休み。
祐二は奈美の幼なじみだ。
家が5軒隣というご近所さん。
2人は幼稚園の頃から一緒に遊び、海で泳ぎ田畑を走り回った。
あの夏の出来事が瞬く間にフラッシュバックした。
――祐二の、
いやに荒い息遣い。
恐怖で固まって動けない奈美。
学校裏の神社にある社務所の隣に、
物置小屋があった。
放課後、
いつも通り祐二とぷらぷら遊んでいた。
小屋に入ろうと言ったのは奈美。
物置小屋は使われておらず、〔探検気分〕で提案した。
「うわっ。
埃くさっ」
「あんだよー、
何も無いじゃん」
小屋は3畳ほどの物置。棚しかなく、
土埃で荒んだ匂いがした。
地元スーパーに行けば必ず誰かしら知人に遭遇するという、
小さな町だ。
奈美が実家に戻ると、
近所の人たちや地元の同級生が顔を見に来てくれた。
『…こんにちは』
その中の1人に、
小学校の同級生だった八幡祐二【ヤハタユウジ】が居た。
奈美は呆けたように過ごしていたが、
祐二の顔を見た途端現実に戻ってきた。
『……あ…………』
実家のリビングに座る奈美。
おずおずと入ってきた祐二…………
祐二は気まずそうにきょときょと目を揺らす。
(覚えてるのね………)
その挙動で分かった。
あれは、
小学校5年生の夏休み。
祐二は奈美の幼なじみだ。
家が5軒隣というご近所さん。
2人は幼稚園の頃から一緒に遊び、海で泳ぎ田畑を走り回った。
あの夏の出来事が瞬く間にフラッシュバックした。
――祐二の、
いやに荒い息遣い。
恐怖で固まって動けない奈美。
学校裏の神社にある社務所の隣に、
物置小屋があった。
放課後、
いつも通り祐二とぷらぷら遊んでいた。
小屋に入ろうと言ったのは奈美。
物置小屋は使われておらず、〔探検気分〕で提案した。
「うわっ。
埃くさっ」
「あんだよー、
何も無いじゃん」
小屋は3畳ほどの物置。棚しかなく、
土埃で荒んだ匂いがした。