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第3章 吉野と一葉

本当に、私が勘違いしていただけなのだろうか。
先輩の言っている事が本当かどうかも私には知る術もないし、知ったところで何かが変わるわけでもない。

「…じゃあ、シオリ先生とはセフレって事ですか？」

「似たようなものかな。残念ながら、あいつとは体の相性も悪くないし」

ただのセフレだとしても、シオリ先生に対する先輩の棘ん含んだ言葉には引っ掛かりを感じた。
まるで、その事が不本意だとでも言っているような。

…だからだろうか。
シオリ先生とは恋仲ではないと先輩から聞かされても、自分の中で手放しに喜べないのは。

「ていうか、そんな事どうでも良くない？俺、あいつの話する為に君を呼んだわけじゃないんだけど」

「………」

「まあ、確かに君に好きって言ったのは嘘だけどさ。最近退屈してたし、ちょうど良い暇潰しにはなりそうかなって」

私は、所詮その程度の存在なのだろう。
そんな事は知っていたし、むしろ暇潰しでも相手にしてもらえるだけマシなのかもしれない。
だけど私は、それが先輩に言われた事だったとしても素直に喜べる程心の広い人間ではない。