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intimidation love
第3章 吉野と一葉

震えそうになる唇を一度きつく結び、まるで何もなかったかのように冷めた口調で先輩に声を掛ける。
「…まさか本気にしたわけじゃないですよね?」
「…え、違うの?」
「もしもの話ですってば。私だって先輩みたいな女たらしは無理ですし、誤解されても困ります」
すると先輩は、安堵した様子で顔を綻ばせた。
「そっか…なら良かった。正直どうしようかなって一瞬悩んだくらいだし」
「ていうか、真に受けないで下さい」
「いや、勿論少し残念ではあるけどね?でも、恋愛感情持っちゃうと面倒だしね後々」
私はただひたすらに無表情を決め込んだ。
先輩が本気にしていないのなら、私もそれに合わせておけばいい。
せめて、先輩が居なくなるまでは泣いてはいけない。
泣いてしまったら、きっともう誤魔化せない。
今度こそ本当に、先輩に気付かれてしまう。
「…次、移動教室なんですよね。もう行かないと」
体を起こし、ゆっくりとした動作で先輩から離れる。
「じゃあ俺も戻るかな…あー、授業受けんの面倒くさ」
「さぼったら駄目ですよ」
「わかってるって、これでも一応受験生ですから。じゃあ、先行くね?」
「はい」
扉が閉まるのを確認してから、その場に蹲る。
思っていたより、涙は出なかった。
無表情を貫き通す事にも、もう慣れてしまったのかもしれない。
それでも、次の授業に出る気力はなかった。
もう限界だ。
こんな無意味な関係、続けていても虚しいだけだ。
私が居ても居なくても、先輩には何の支障もない。
先輩にとっての私の価値は一ミリにも満たないと、これで十分にわかった。
だから、もういいのだ。
先輩は、いつ飽きてくれるのだろうか。
それをただじっと待ち続けるのは、もはや私には拷問以外の何物でもない。
これから先もまだ終わりが見えそうになかったら、私がそう仕向けるしかない。
今更嫌われる事なんて怖くなかった。
むしろ嫌われた方が、先輩の記憶の中に少しでも留めてもらえるかもしれない。
とにかく私はもう、これ以上先輩と関わり続ける事が耐えられなかった。
「…まさか本気にしたわけじゃないですよね?」
「…え、違うの?」
「もしもの話ですってば。私だって先輩みたいな女たらしは無理ですし、誤解されても困ります」
すると先輩は、安堵した様子で顔を綻ばせた。
「そっか…なら良かった。正直どうしようかなって一瞬悩んだくらいだし」
「ていうか、真に受けないで下さい」
「いや、勿論少し残念ではあるけどね?でも、恋愛感情持っちゃうと面倒だしね後々」
私はただひたすらに無表情を決め込んだ。
先輩が本気にしていないのなら、私もそれに合わせておけばいい。
せめて、先輩が居なくなるまでは泣いてはいけない。
泣いてしまったら、きっともう誤魔化せない。
今度こそ本当に、先輩に気付かれてしまう。
「…次、移動教室なんですよね。もう行かないと」
体を起こし、ゆっくりとした動作で先輩から離れる。
「じゃあ俺も戻るかな…あー、授業受けんの面倒くさ」
「さぼったら駄目ですよ」
「わかってるって、これでも一応受験生ですから。じゃあ、先行くね?」
「はい」
扉が閉まるのを確認してから、その場に蹲る。
思っていたより、涙は出なかった。
無表情を貫き通す事にも、もう慣れてしまったのかもしれない。
それでも、次の授業に出る気力はなかった。
もう限界だ。
こんな無意味な関係、続けていても虚しいだけだ。
私が居ても居なくても、先輩には何の支障もない。
先輩にとっての私の価値は一ミリにも満たないと、これで十分にわかった。
だから、もういいのだ。
先輩は、いつ飽きてくれるのだろうか。
それをただじっと待ち続けるのは、もはや私には拷問以外の何物でもない。
これから先もまだ終わりが見えそうになかったら、私がそう仕向けるしかない。
今更嫌われる事なんて怖くなかった。
むしろ嫌われた方が、先輩の記憶の中に少しでも留めてもらえるかもしれない。
とにかく私はもう、これ以上先輩と関わり続ける事が耐えられなかった。

