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intimidation love
第3章 吉野と一葉
「え、貰っていいの?」

「はい。間違って押しちゃったので。良かったらどうぞ」

先輩がよく好んで飲んでいた缶コーヒーを、要らないからと言って手渡した。

「やった、ありがとヨシノちゃん」

嬉しそうに笑う先輩につられて、私も笑う。
本当は、間違えて買ったわけじゃない。
今日で最後だから、少しでも先輩の喜ぶ顔を見たかっただけだ。

「でも、そっちもちょうだい」

「私のですか?」

「うん」

先輩は私がいつも飲んでいるイチゴ牛乳も好きなのか、飲んでいる最中に何度も奪われた事がある。
酷い時には空になるまで飲んでしまう事もあり、悪びれもなく「無くなっちゃった」と言って笑うのだ。
そんなに飲みたいなら自分で買って下さいと怒っても、そうはせずに今日も先輩は私に寄越せと言う。
本当に、先輩はよくわからない人だ。

「どうぞ」

私がイチゴ牛乳を差し出すと、先輩は何故か不思議そうな顔をする。

「あれ?いつも嫌がるのに今日は素直にくれるんだ」

「全部飲んでいいですよ。私はもういいので」

益々不思議そうに、先輩は私の顔を覗き込む。

「ヨシノちゃん、何か今日変じゃない?」

「…そうですか?」

私はただ、曖昧な笑みを浮かべる事しか出来ない。
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