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第3章 吉野と一葉

すっかりお腹が満たされた先輩は、大きな欠伸をしながら私へと凭れ掛かって来た。

「…あの、重いんですけど」

「大丈夫、ヨシノちゃんなら俺を支えれる」

「…はあ」

意味がわからない。
私は若干呆れながらも、先輩の好きにさせておく事にした。
今日で最後だと思うと、どうしても名残惜しく感じてしまう。
せめて今日は、可愛いげのない態度は取らないようにしようと決めていた。

だけど、時間にも限りがある。
いつ切り出そうか悩んでいると、急に先輩に頬を突かれはっとする。

「ねえ、やっぱりヨシノちゃん今日変じゃない？やけにぼうっとしてるし」

「…そんな事ないですよ」

「何か悩み事でもあるんじゃないの？」

「本当に、違いますって。先輩の気のせいです」

「そう？」

先輩は、私を心配してくれているのだろうか。
そうなら、すごく嬉しい事だ。
だけど、優しい言葉を掛けられると余計に切り出しづらくなってしまう。