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intimidation love
第3章 吉野と一葉
「あー、笑ってるし。ヨシノちゃんまで酷い」

先輩に指摘されるまで、自分がどんな表情をしているのかわからなかった。
ただ、先輩は勘違いしている。
私は先輩を馬鹿にして笑ったわけじゃない。

「…違うんです。私、すごくびっくりしちゃって」

「何に?」

どうしても、勝手に表情が緩んでしまう。
更に笑みを零す私に、やっぱり先輩は不満そうだ。

「だってまさか、私と同じ理由でここに来た人が居るなんて思ってなかったから…」

先輩の目が、僅かに見開かれる。
本当は、こうやって先輩の顔を近くで見ていたい。
今日で終わらせたくなんてない。
だけどこれ以上を望んだら、きっと罰が当たる。

「だから、嬉しくて…本当にすごく嬉しかったから、つい笑っちゃっただけで」

目尻に溜まる涙を、誤魔化すよう指で拭う。
泣きたくなるくらい、今の私は幸せ者だ。
もう、十分な程に。

「…あの、先輩。私…」

もう、先輩の暇潰しにはなれない。
そう言おうとした私は、唐突に腕を掴まれた事で言葉を詰まらせた。
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