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intimidation love
第4章 膠着
昼休みも終了間近だからか、廊下にいた生徒達は皆足早に教室へと戻って行く。
それとは逆に、私は重い足取りで保健室へと向かう。
階段に差し掛かったところで、楽しそうな男女の声が下の踊り場から聞こえて来た。

もう授業が始まるのに、戻らないのだろうか。
明らかに親密な会話を交わす二人の声が、階段を一歩ずつ降りる度に近付いて来る。
いくら誰も居なくなったからといって、先生達も通る場所なのに随分と大胆だとある意味で私は感心した。

相手の首に腕を絡ませる女子生徒と、壁に凭れその腰に手を回す男子生徒の姿が視界に映り込む。
合わせた唇の隙間から漏れる息と微かな笑い声に、思わず足を止めそうになる。
二人は私に気付いていないのか、一切離れる素振りを見せない。

「もう授業始まるけど?」

「ん、でもまだ…」

「じゃあ、このままサボる?どうせ自習だし」

私はすぐに彼等から目を逸らし、足早に通り過ぎた。
見たくない、聞きたくもない。
もっと早くに気付いていたら、引き返して別の階段から行ったのに。

「…あ、見られちゃった」

大して驚いてもいない女子生徒の声が階段を降りるのと同時に聞こえて来て、私は耳を塞いで廊下を走り抜けた。
おそらく、後ろ姿だけしか見られていない。
だから、先輩もそれが私だとは気付いていないだろう。

足がもつれそうになりながら、どうにか長い廊下の角を曲がり終えた私はようやく立ち止まった。
壁に背中を預け、乱れる息を整える。

泣きそうになっている自分に気付き、堪えるように歯を食い縛る。
こんな事で泣いていたら、キリがない。
今日は単に、運が悪かっただけだ。

ふと、壁に凭れていた私の目の前に不自然な影が落ちる。
私はその影にぎくりと肩を震わせた後、徐々に目線を上へとずらした。

「どこ行くの、ヨシノちゃん」

久し振りに目にした先輩の爽やかな笑顔につい見とれながらも、やっぱり今日はついてない日だと思わざるを得なかった。
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