パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第4章 膠着

「久し振りだね。元気だった？」

「…はい」

さっきまで一緒にいた女の人はどうしたのだろう。
先に、戻ったのだろうか。

「俺だって気付いてたんでしょ？声掛けてくれれば良かったのに」

あんな場面で、声なんて掛けれるわけがない。
それにたとえ先輩が一人で居たとしても、気付かれる前に私は逃げていただろう。

私には、あんなに怒っていた筈の先輩が何でもない顔をして話し掛けて来る理由がちっともわからなかった。
それとも、どうでも良い事だからこそ普通に話し掛けて来るのだろうか。
…馬鹿か、私は。
それ以外に、何があるというのか。
いつまでも怒り続ける程、先輩は私を気にしてなんていないだけだ。

「相変わらず、不健康そうな顔してるね」

「…すみません」

「何でそこで謝るのさ」

「………」

何を話していいのかわからない。
先輩も、偶然私を見掛けたからといってわざわざ声なんて掛けなくてもいいのに。
私と話したところで、暇潰し以前に不愉快な思いをするだけではないのだろうか。

「もしかして、保健室行く途中だった？」

「…はい」

「行けば、先生に会えるもんね？」