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intimidation love
第4章 膠着
まるで、ハル君に会う為に私が保健室に行こうとしているような言い方だ。
もしかして、先輩は私と先輩ハル君の関係を誤解しているのだろうか。
隠しているわけではないから、他の先生達は勿論知っている。
かといってわざわざ公にする必要もなく、殆どの生徒は私とハル君が家族だという事を知らない。

「あの、ハル君とは…」

「そんな事より、実は俺ヨシノちゃんに確認しときたい事があったんだけど」

誤解を解こうとした私の言葉は、先輩の声に遮られた。

「俺とシオリの画像、ちゃんとパソコンから消してくれた?」

「え…?はい、前に言われた後、すぐに…」

「本当?嘘じゃない?」

「本当です」

消したと言っているのに、尚も先輩は疑いの眼差しを向けて来る。
今頃になって、どうして気にするのだろうという疑問が沸く。

「俺もさ、ヨシノちゃんの事信じてないわけじゃないんだけどね…さすがにああいうのはさ、ちゃんと消しましたよっていう証拠がないと不安っていうか」

「…証拠、ですか?」

「ヨシノちゃんが嘘ついてるかついてないかの問題じゃなくて、俺自身に確認させて欲しいんだ。確認出来た時点で、綺麗さっぱり不安も消えるでしょ?」

だからこうして先輩は話し掛けて来たのかと、私は納得した。
消したという私の言葉だけでは、確かに真実性に欠けるかもしれない。
しかもそれが他人に見られたくないものならば尚更、先輩の言うように不安な気持ちにもなるだろう。
先輩にそんな嫌な思いをさせていたのかと思うと、脅迫なんて浅はかな行為に走ってしまった自分が物凄く恥ずかしい。

「…どうしたらいいですか?」

正直いって、こればかりは自分が蒔いた種だ。
先輩が納得する方法を、選ぶしかない。

「じゃあ、ヨシノちゃん家のパソコン確認させて貰ってもいい?それが一番簡単だろうから」

安心したような笑顔を浮かべながら、先輩は言う。

…そうだ、これは先輩のせいじゃない。
後から、全部自分に返って来ただけの話でしかないのだ。
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