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intimidation love
第4章 膠着
ハル君にばれなければ大丈夫だろうと、そんな安易な考えからあっさりと承諾した私は先輩を自宅に招き入れた。
確認したらすぐに帰ると先輩は言っていたし、この時間ならハル君はまだ帰って来ないから鉢合わせなんて事には絶対にならないだろう。

「家の人、居ないの?」

「…はい、まだ帰ってませんから」

「…ふうん、そうなんだ」

「部屋、こっちです」

ハル君の事を話すタイミングを逃してしまった私はその後何と無く言い難くなり、結局先輩には伝えていないままだ。
それに、あえて言う必要なんてないのかもしれない。
私とハル君の事情を説明したとして、先輩にとっては興味のない事だろうから。

「どうぞ」

机の上のパソコンを起動させ、先輩に椅子に座るよう促す。

「勝手に見ちゃっていいの?」

「はい。画像は残ってないですけど、心配なら気が済むまで見ていいですよ」

元々私はパソコンなんて殆ど使わないし、見られて困るようなものは何も入っていない。
先輩も、私ではなく自分で操作した方が安心出来るのではないだろうか。

「ところで、家の人は何時頃帰って来る予定?」

「えっと…大体は六時から七時の間です」

「りょうかーい。それまでには終わらせるね」

先輩の上機嫌な返事を聞きながら、部屋の時計をちらりと確認する。
まだ、三時を過ぎたばかりだ。
ハル君が帰宅するまではまだ時間に余裕があるけれど、出来るだけ先輩には早く終わらせて欲しかった。

「…飲み物、入れて来ますね」

「んー、ありがと。あ、待って。ヨシノちゃんにしつもーん」

「…何ですか?」

一旦部屋を出ようとした私を、先輩の間延びした声が呼び止めた。
前までと同じ、どこかやる気のない喋り方に少しだけほっとする。
屋上での事が、まるで嘘だったかのように思えて来る。

「誰も居ない家に簡単に男を入れちゃうのって、警戒心がないから?」

先輩はゆっくりとパソコンを閉じ、こちらへと振り返った。

「それとも、わざとそういう振りしてるだけ?」

その朗らかな笑顔には不似合い過ぎる先輩の言葉に、一瞬私は何を言われたのか理解出来なかった。
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