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intimidation love
第4章 膠着
先輩はさっき言っていた通りに、私の腕の拘束を解いてくれた。
自由になった手首は、少しだけ赤くなっていた。

「痣にはなってないけど…痛かったでしょ?」

先輩はだらりと下がった私の手首を持ち、赤くなっていた部分にそっと口付けた。
どうしてこんな事をするのだろうと、先輩の長い睫毛を見下ろしながら思う。
自分で縛っておきながら、まるで労るように優しく唇で触れるのは何故なのだろう。
振りほどいてしまいたいのに、それが出来ない自分が悔しくて堪らない。

「どうしたの、随分と大人しくなっちゃって」

離れようともせずベッドの上でじっと座り続けている私を、尚も手首に唇を寄せたままの先輩が不思議そうに見上げて来る。

「写真撮られたの、そんなにショックだった?」

「………」

「悪いけど、俺はヨシノちゃんとは違うよ?さっき撮った写真を誰かに見せる事も、どっかのサイトに載せる事も平気でやっちゃうかもね」

全て、私に対する腹いせに過ぎない。
そんな事はわかっている筈なのに、少し優しくされただけですぐにまたわからなくなってしまう。
先輩の言動一つに右往左往してしまう自分が、情けなくて嫌になる。
酷い事ばかりされているのだから、いっそのこと嫌いになってしまえば楽になれるのに。
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