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intimidation love
第5章 暗闇に沈む時
「おまえには俺が不幸に見えるのか?」

「…そういうわけじゃ」

「義務だから仕方なく、俺がおまえと暮らしてるとでも思ってるのか」

まさか、ハル君を怒らせてしまうなんて思っていなかった。
私は、聞いてはいけない事を聞いてしまったのだろうか。

「…そんな事もわかってないおまえに、余計な心配されたくないよ俺は」

「ハルく…」

朝食も途中のまま、ハル君は先に自室へと戻って行った。
たぶん、今はもう私と話したくないのだろう。
私が、変な事を言ってしまったから。
私が、不愉快な思いをさせてしまったから。
…だから、ハル君は。

それから大して時間は経っていない筈だ。
部屋から出て来たハル君は、 俯いたままの私に向かって言った。

「ヨシノ、食べ終わったならさっさと着替えて来い。片付けは俺がやるから」

いつも以上の語気の強さから、ハル君が苛立っているのが伝わって来る。

「…うん」

返事はしたものの中々動かずにいると、いい加減痺れを切らした様子のハル君に、強く腕を引っ張られた。

「何してる?いいから早くー…」

私を見下ろすハル君が、ふと言い淀む。

「…ごめんなさい」

「ヨシ…」

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

ハル君は無愛想ではあるけれど、とても優しい人だという事も知っている。
そんなハル君を怒らせてしまった私は、とてもいけない事をした。
滲む視界のせいでハル君の顔はよく見えなかったが、きっとまだすごく怒っているのだろう。

「ごめん、なさいっ…」

このままではいけないとわかっているのに、ハル君に嫌われてしまうのが堪らなく怖い。
こんな事でいちいち泣いてたら駄目なのに、どうしても感情がコントロール出来ない。
不安な気持ちが、抑えられない。

「もう、変な事聞いたりしないからっ…ちゃんと、良い子にするからぁ…」

最近ハル君が私を避けているのは、いつまでも甘え続ける私に嫌気がさしたからだ。
いつか私は捨てられる。
そうなる前に、どうにかしたいと思っていた。

みっともなく泣きじゃくる私に、きっとハル君も呆れているだろう。
もう、嫌われたかもしれない。
そもそもハル君は、とっくに私の事なんて嫌っているかもしれないのに。

「…ヨシノ」

哀しげに揺れるハル君の瞳に見つめられて、実感する。
外見どころか中身すらも、私はちっとも成長していない。
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