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君と甘い鳥籠で
第1章 1
 食事や片付けなど諸々を終え、グレーテはベッドの上に座ってハンスが湯あみから戻って来るのを待っていた。足首に固定された黒々とした足枷と鈍く光る鎖に繋がれたまま……
 グレーテはその鎖がより太く、短い物に変えられている事に気付いていた。

 私は兄さんから逃げたりしないのに……

 ガチャリと重い音を立てて扉が開く。ハンスが腰にタオルを巻いただけの格好で頭を拭きながら部屋に入って来た。それは何時もと同じ格好で、厚い胸板もしっかり割れた腹筋も逞しい両腕も全部、見慣れた姿の筈なのにグレーテの心臓はドキリと跳ね、早回りし始める。それに伴い頰が熱くなるのを自覚して、グレーテは立てた膝を抱え込む様にして顔を逸らした。

 シャラシャラと鎖を動かす音がしてベッドが軋む。ハンスが鎖を持ち上げながらベッドに上がって来たのだ。目の前に座った気配にグレーテは恐る恐る顔を上げ、目を伏せたハンスが愛おしそうに鎖に口付ける姿に息を飲んだ。その目がゆっくりと上がり、グレーテを捉えてくる。アイスブルーの瞳に宿る熱。また大きく脈を乱されて、グレーテは慌てて下を向いた。
「……グレーテル」
 鎖の擦れる音がしてギシリとベッドが軋む。ハンスが身体を寄せてきていた。グレーテを両足の間に挟む様にして座り、左手で彼女の柔らかな金髪を一房そっと掬い上げる。
「怒ってる?」
 すぐ耳元で聞こえた何処か弱々しいその声にグレーテは俯いたまま、慌てて左右に頭を振った。その動きにハンスの手から髪が滑り落ちる。空になった手からグレーテの丸い頭へと視線を移し、ハンスがその顔を覗き込もうと首を傾げた。
「怒って、ないの?」
 俯いたままのグレーテが今度はコクンと小さく頷く。
「足枷付けたのに?」
 コクン。
「鎖で繋いだのに?」
 コクン。
「……あんなキス、したのに?」
 あんな、とは今朝のキスの事だろう。何時もの触れるだけの優しいキスではなく、深く舌を絡め身体に火を灯した熱いキス。すぐに拒んだグレーテだったが、それは嫌だったからじゃない。
 少しの間を挟み、グレーテが小さく頷いた。それを見たハンスが安堵のため息を吐く。胸に込み上げてくる熱い想い。
「グレーテル……」
 愛しいその名を呼んで、ハンスはグレーテの柔らかな髪に触れた。
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