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あおい風 あかい風
第6章 いとこ
 大輝達兄弟は よく似ていて二人ともハンサムだ。兄の陽輝が甘いルックスなのに 顔立ちは同じでも 大輝はけわしくてとっつきに
くい。背が高く素晴らしい運動能力を持ち 勉強も上位成績だ。もてないはずがない。ただ、結月と付き合っていると思われている
から つきまとう子はいないはずだ。大抵の女の子は 結月に勝てるとは思わない。

 「まさか 力づくで押し倒したわけじゃあないでしょう?」
 「うぅぅぅ」
 「押し倒したのね」
 こいつは 本当に運動馬鹿だ。でも数学より面白い。相手は 誰なんだろう。
 「いつ?どこで?」
 「陸上部の倉庫。おととい」
 「なに?その倉庫って。不気味なんだけど」
 「はじめて ふたりっきりになれたから、つい」
 「つい? いきなり? 倉庫で?」
 「うぅぅぅ」
 「ばっかじゃないの?信じられない。絶対 ありえない。それで 歓ばれたら 奇跡だわっ」

  そうなのだ。しっかり抱きしめて放すまいと思ったのに 腕の中から 怯えて逃げ出した。
 もう二度と捕らえることはできないかもしれない。碧の目から 大輝を見るときの賞賛の輝きは消えてしまうかもしれない。
 全部 失ってしまうかもしれない。
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