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あおい風 あかい風
第6章 いとこ
「ゆうちゃん 大きくなったら なにになりたぁい?」
幼い頃 そう聞かれると かならず
「はるにぃのお嫁さん」
と答えた。七歳年上の大輝のお兄さん。結月にとっては 完璧な男性だった。ハンサムで優しくて いつも穏やかだった。今から思 えば、 高校生の陽輝が 小学生の結月や大輝と遊んでくれたなんて不思議だ。
陽輝の自転車の後ろに乗せてもらい 全身でしがみつくのは至福の時間だった。自分は陽輝の自転車の後ろに乗り 大輝は走らせ た。
「大ちゃんは 未来のオリンピック選手なんだから 走りなさい」
大輝は 不平を言うでもなく 従った。
近くの防波堤の公園が いつものコースだった。結月と大輝が遊んでいる間 陽輝は 本を読んでいた。何かあると「はるにぃ」と
陽輝のところへ駆け込んだ。読書を邪魔されても 嫌な顔をしたことがない。にこにこと いつも受け入れてくれた。
陽輝が大学受験に備え始めると 松本家を訪ねても 会えないことが多くなった。 有名国立大学に合格すると全く会えなくなった。
陽輝は 東京に住いするようになり 長期の休みに帰ってきても 以前のように遊んでくれなくなった。
たまに会って
「ゆうちゃん また綺麗になったね」
そう言われても うれしくなかった。陽輝は どんどん大人になっていく。早く大人になりたかった。
幼い頃 そう聞かれると かならず
「はるにぃのお嫁さん」
と答えた。七歳年上の大輝のお兄さん。結月にとっては 完璧な男性だった。ハンサムで優しくて いつも穏やかだった。今から思 えば、 高校生の陽輝が 小学生の結月や大輝と遊んでくれたなんて不思議だ。
陽輝の自転車の後ろに乗せてもらい 全身でしがみつくのは至福の時間だった。自分は陽輝の自転車の後ろに乗り 大輝は走らせ た。
「大ちゃんは 未来のオリンピック選手なんだから 走りなさい」
大輝は 不平を言うでもなく 従った。
近くの防波堤の公園が いつものコースだった。結月と大輝が遊んでいる間 陽輝は 本を読んでいた。何かあると「はるにぃ」と
陽輝のところへ駆け込んだ。読書を邪魔されても 嫌な顔をしたことがない。にこにこと いつも受け入れてくれた。
陽輝が大学受験に備え始めると 松本家を訪ねても 会えないことが多くなった。 有名国立大学に合格すると全く会えなくなった。
陽輝は 東京に住いするようになり 長期の休みに帰ってきても 以前のように遊んでくれなくなった。
たまに会って
「ゆうちゃん また綺麗になったね」
そう言われても うれしくなかった。陽輝は どんどん大人になっていく。早く大人になりたかった。