この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あおい風 あかい風
第7章 電車
映画は つまらなかった。
佑介も「つまらなかったね」と言った。
「ちょっと早いけど ご飯いこっ」
くだけたフレンチ、というかんじのお店に入った。席につくと
「ここでよかった?」
と聞く。次第に 佑介のやり方に慣れてきた。
食事をしながら 佑介はよくしゃべった。
在学中に起業したいとか だれを尊敬していて だれそれは偽善者だとか なんとか事件はなんとかの隠れ蓑だとか 佑介の話は 結月の知らない世界を披露してくれた。
大学生活も 結月のそれとは まったく違う。友人が多いようだし 教授とも円満に付き合っているようだ。
大勢の男女でどこかに出かけるなんて 結月には想像もできなかった。
音楽と勉強しか知らない結月は 異星人が登場したかのように佑介を見守った。
帰り際には 次の約束をしていた。
結月は 女友達と ショッピングしたり どこかに遊びに行ったりしたこともなければ お泊りをしあったり 秘密を打ち明けあったりしたこともなかった。 男の子とふたりで出かけたこともなかった。佑介は 結月の世界が いかに狭く 人間関係が薄いものだったか教えてくれた。
これが 最初の一歩なのだと 自分に言い聞かせた。
自分は 前進しているのだと信じることにした。
佑介も「つまらなかったね」と言った。
「ちょっと早いけど ご飯いこっ」
くだけたフレンチ、というかんじのお店に入った。席につくと
「ここでよかった?」
と聞く。次第に 佑介のやり方に慣れてきた。
食事をしながら 佑介はよくしゃべった。
在学中に起業したいとか だれを尊敬していて だれそれは偽善者だとか なんとか事件はなんとかの隠れ蓑だとか 佑介の話は 結月の知らない世界を披露してくれた。
大学生活も 結月のそれとは まったく違う。友人が多いようだし 教授とも円満に付き合っているようだ。
大勢の男女でどこかに出かけるなんて 結月には想像もできなかった。
音楽と勉強しか知らない結月は 異星人が登場したかのように佑介を見守った。
帰り際には 次の約束をしていた。
結月は 女友達と ショッピングしたり どこかに遊びに行ったりしたこともなければ お泊りをしあったり 秘密を打ち明けあったりしたこともなかった。 男の子とふたりで出かけたこともなかった。佑介は 結月の世界が いかに狭く 人間関係が薄いものだったか教えてくれた。
これが 最初の一歩なのだと 自分に言い聞かせた。
自分は 前進しているのだと信じることにした。