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あおい風 あかい風
第8章 髪飾り
陽輝が連れて行ってくれたのは 地下にあるこじんまりとしたステーキハウスだった。学生だけでは絶対に訪れない高級感があった。
好みを聞き 陽輝がみつくろってオーダーしてくれた。そういう慣れたやり方が 結月との距離を離していくように思える。いつになったら 追いつけるのだろう。
赤ワインを注ごうとして 手をとめ
「二十歳になったよね」
「はぁい。お酒は とっくに解禁です」
もう 大人なのに。
ステーキは 表面は香ばしく 柔らかくて美味しかった。赤ワインも 渋みが抑えられ口当たりが良かった。結月は 久しぶりに美味しいと思って食事をした。
陽輝が 自分のものを切り分けて 結月のお皿にのせた。
「しっかり食べなさい。もう少し太らないと」
そんな保護者めいた言葉が 痛い。
お腹が空いていたので 陽輝の分も食べてしまった。
「こんなに食べたのは ひさしぶり。とっても美味しかった」
「お皿まで 食べてしまうんじゃあないかと はらはらしたよ」
「はるにぃの分がなければ お皿を食べてた」
素直に笑えた。
「ゆうちゃんは 笑っていた方がいい」
でもね そんな言葉は だめ。
「このお店には よく来るの?」
「よく、でもないけど。最後は 大輝が初めて合格通知を受け取った日に 二人で来た」
「あいつ よく食べて・・・」
結月は 泣いていた。組んだ両手に額をのせて 肩を震わせて 泣いていた。
そういえば この子は 泣き虫だった。
小さな頃 さんざん命令されて 使い走りにされても 結月が泣き始めると 大輝は泣き止むまで 髪を撫でてやっていた。
「ゆうちゃん なかないで」
今でも 泣き虫なのか。
「出ようか。髪飾りを忘れないで」
好みを聞き 陽輝がみつくろってオーダーしてくれた。そういう慣れたやり方が 結月との距離を離していくように思える。いつになったら 追いつけるのだろう。
赤ワインを注ごうとして 手をとめ
「二十歳になったよね」
「はぁい。お酒は とっくに解禁です」
もう 大人なのに。
ステーキは 表面は香ばしく 柔らかくて美味しかった。赤ワインも 渋みが抑えられ口当たりが良かった。結月は 久しぶりに美味しいと思って食事をした。
陽輝が 自分のものを切り分けて 結月のお皿にのせた。
「しっかり食べなさい。もう少し太らないと」
そんな保護者めいた言葉が 痛い。
お腹が空いていたので 陽輝の分も食べてしまった。
「こんなに食べたのは ひさしぶり。とっても美味しかった」
「お皿まで 食べてしまうんじゃあないかと はらはらしたよ」
「はるにぃの分がなければ お皿を食べてた」
素直に笑えた。
「ゆうちゃんは 笑っていた方がいい」
でもね そんな言葉は だめ。
「このお店には よく来るの?」
「よく、でもないけど。最後は 大輝が初めて合格通知を受け取った日に 二人で来た」
「あいつ よく食べて・・・」
結月は 泣いていた。組んだ両手に額をのせて 肩を震わせて 泣いていた。
そういえば この子は 泣き虫だった。
小さな頃 さんざん命令されて 使い走りにされても 結月が泣き始めると 大輝は泣き止むまで 髪を撫でてやっていた。
「ゆうちゃん なかないで」
今でも 泣き虫なのか。
「出ようか。髪飾りを忘れないで」