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あおい風 あかい風
第8章 髪飾り
地上に出てみると 街は暮れかけ ところどころに街灯がともりはじめている。
せわしなく人々が行き交う。 全ての人が 帰る場所があるかのようにみえる。
泣きやんだ結月の肩を 陽輝は抱き寄せた。大輝のかわりにしてやれることは これくらいか、と思いながら。
肩を抱かれたまま
「今日は はるにぃんちに 泊まる」
泊まってもいいか、と聞かないところが結月だ。やっとらしくなってきた、と思いながら 「いいよ」と軽い気持ちで答えた。 陽輝の中では 年下のいとこを泊める、というだけのことだった。
陽輝の返事の早さに 結月もそのことには気がつき 傷ついたが この心地よい時間を過ごした後で またひとりになるのはこわかった。このまま陽輝と別れたら またひとりぼっちだ。これから先もひとりぼっち、という真実と向かい合わなければならない。それだったら 傷つくほうが まだましだ。
せわしなく人々が行き交う。 全ての人が 帰る場所があるかのようにみえる。
泣きやんだ結月の肩を 陽輝は抱き寄せた。大輝のかわりにしてやれることは これくらいか、と思いながら。
肩を抱かれたまま
「今日は はるにぃんちに 泊まる」
泊まってもいいか、と聞かないところが結月だ。やっとらしくなってきた、と思いながら 「いいよ」と軽い気持ちで答えた。 陽輝の中では 年下のいとこを泊める、というだけのことだった。
陽輝の返事の早さに 結月もそのことには気がつき 傷ついたが この心地よい時間を過ごした後で またひとりになるのはこわかった。このまま陽輝と別れたら またひとりぼっちだ。これから先もひとりぼっち、という真実と向かい合わなければならない。それだったら 傷つくほうが まだましだ。