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あおい風 あかい風
第2章 キス
 そのことで勇気を得たのか 大輝の手が乳房から ゆっくり移動した。まるで気づかれないように祈っているかのように おそるおそ るスウェットの中に入ってくる。
 そのとき 急に ここが体育館のかびくさい倉庫で ほこりまみれのマットの上であることを碧は思い出した。

 大輝の手をはらい 起き上がろうとした。
  驚いて 大輝が身体をはなす。

「あ・・・いや・・・」
 わけがわからない、という顔をしている大輝の下から どうにか這い出し 沈み込むマットレスと格闘しながら 「こんなの いや」

 うさぎのような俊敏さで逃げ出した碧のあとを 大輝は 追いかけることができなかった。
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