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第16章 映し出された実像

自然と笑みが顔に浮かぶ。

クスッと笑った。

自分は何をしにきたのだろう。

バカバカしい快感が、くすぐったかった。

両目を開けた視界が、ぼやけていたのだが徐々にピントがあってきた。

目の前のＴＶ画面は消えていた。

テーブルにはコップが水滴を濡らしている。

そして隣には・・そう、理恵だ。

涼子はハッとして、愛おしい天使を探した。

理恵は微笑みながら、隣に座っていた。

ホッと安心して見上げた涼子は、視界に映った物に凍り付いてしまった。

レンズが見つめていた。

冷たい光を宿した丸いガラスに、自分の驚いた顔が映っている。

しかし、涼子が最も恐怖したものは、その下で醜く歪む厚い唇であった。

山岡が、立っていた。