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人間と牛
第5章 搾乳
ぐぅ~……。
(ああ、おなか空いたなあ……)
私は今、超絶はらペコだった。

(ん……?)
「うあああああああ!!」

タッタッタッタッ……。
「何だよ煩いな!!」

「だ、だ、だって!!今見たら裸だったんですよっ!!」
私は手で胸と股を隠しながら叫ぶのが精一杯だった。

「なんだ、そんなことか」

「『なんだ』じゃないですよ!!これ、どういうことですか!?」

「……ここは人乳を作る工場だ、人乳は裸じゃなきゃ作れない」
私は平然として居られる男性が逆に凄いと思った。

「えっ?もしかして、私が人乳を?作るんですか?」

「ああ、正確には此処に居る女性がだけどな」

「ふふ、残念でしたね、人乳にはプロラクチンが必要、プロラクチンは妊娠後に分泌されますので、私たち中学生には影響ありません!」

「いや、その問題は既に解決済みだ」
「え?」

「プロラクチンを投与できる注射器を開発したから、それを打てば一発って訳」
「終わったあ……」

「そんな落ち込むなって、中学生で乳が出せるって珍しいことだよ!!」

「確かに、そうかもしれませんけど……」
(ダメダメ、変なことは考えちゃダメ……!!)

「っていうか、その人乳は何に使う気ですか!!」

「なあに、牛に送ってやるだけさ」
男性はニヤニヤとしながら話す。それを私は不審に感じた。

「う、牛に……?」

「そう、だって僕ら人間は、牛から栄養を貰っている訳でしょ?そしたら、恩返ししてあげなくちゃ」

「恩返し……」
(だからって、こんなの……)

「あ、そうそう。はい、これ」
そう言って、男性は私の前に大きな皿と様々な料理を置いた。

「これ食べて頑張ってね」
この時、私は初めて優しさを感じた気がした。

「あ、ありがとうございます……あの、こんなに、いいんですか?」

「うん、美味しい人乳を作るには、まず体調を元気にしないと!さ、食べて」

「いただきます…………」
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