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ローターの子
第2章 キャンプにて
「まぁ頑張ってね」

「ぅぅ……」
 まだまだキャンプは、これからだ。
 私は、どれほどの刺激に耐えなければいけないのだろうか……。


「ん? あの子は?」
 父親が、ちょうどやってきた。

「私の、えっと……友達……」

「そっか」
 危なかった……彼氏って言っちゃいそうだった……違うって分かっているのに……。


「あ、そうそう、序でに近くにコンビニがあったから、これ買ってきちゃった」
 そう言ってポケットから出してみせたのは……そうめんだった。
 ただでさえ尿意を感じている私にとって冷たいものは最悪だ。

「いやぁ、カレーライスとか作りたかったんだけどね、ライターを家に忘れちゃってさ。ちょうど暑かったし、いいだろ?」

「う、うん……」
 どうしよう……ローターの刺激に耐えながら冷たいものを食べるなんて……。
 泣きそうになっていた私に、更なる恐怖が襲ってきた。

 冷たい氷とボウルが当たったのだ。
 氷の音は、今のさくらにとって大きな刺激だった。

「さ、出来たぞ!」

「う、うん……」
 そこにあったのは皿の上に冷やした麺を盛りつけただけのもの。
 恥ずかしながらお父さんは、料理があまり得意ではないのだ。

「では、いただきますっ!!」
「いただき……あっ……!」
 声を出したところ、ローターの刺激が私を襲った。
 お父さんが目の前に居るのにっ……こんな声っ……。
 それは普段の声とは違った甘く切ないものだった。

「さくら、なんか言った?」

「う、ううん、なんでもないよ……」

「そうか……気のせいだったかな……」
 危なかった。今のは本当に危なかった。
 このローターと一緒に居ると、ろくなことがないんだ。

「ぅ……ぁ……」
 樹君……完全に楽しんでるよね……?
 これじゃ、食事するどころじゃないよっ……!

 その時、急激な尿意が私を襲ってきた。
「お、お父さんっ……トイレ行きたいっ……」

「あれっ? さくらって意外と頻尿なんだね」
 そんなこと……ない……けど……刺激のせいで……言い返せないっ……。

「確か向こうの方にコンビニがあったと思うけど、ここから歩くと10分はかかるだろうなぁ」

「10分!? そんなに無理っ……」
 もう私の尿意は限界に近い。テーマパークに行った時よりも明らかに、それが分かる。

「じゃあ、その辺の茂みはどう?」
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