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混浴露天風呂・痴漢ワニに囲まれて
第3章 想い出
チェックインの手続きだけを済ませると、

「ちょっと散策に行きます」

と、伝えて茉莉子は、宿を出て宿の裏山を登り始めた。前回、来た時も家族で訪ねた神社。そして、その境内から見える景色。道々には紫陽花が綺麗に咲いていた。

白い紫陽花、赤い紫陽花、青い紫陽花、眺めながらバックパックから取り出した折り畳みの日傘をさして、山道とはいえ舗装された道を歩き、鳥居をくぐり、神社の境内につながる階段を上って行く茉莉子。

湿度が高く、日も当たる南側斜面。階段を上る茉莉子の額に汗が。

振り返ると海が見える。

誰もいない境内。村の神社という感じで、祭礼の時以外は人がいない。でも、綺麗に掃かれているということは朝、誰かが掃除をしているということ。

境内から見える海。キラキラと光る水面。

その景色を眺めながらハンカチーフで、首筋の汗を拭いた。

以前、ここに来た時は、息子たちも一緒だった。小学生だった長男、次男、三男。幼稚園児だった四男。

小学五年生くらいから、次々に反抗期に突入して、口も利かなくなった息子たち。それでも息子たちは大きく逞しくなった。

夫は、

「男ってそんな生き物だ。みんな、心の中では『ありがとう』って感謝している。でも、素直になれないだけだ」

と、いつもフォローしていた。本当にそうなのかしら…。夫、息子たち、亡くなった舅、男が圧倒的に多い家族構成。同性は姑だけだった。世の中には嫁姑問題とかあると聞くけど、そんな関係ではなかった。

唯一の救いだった。息子たちが反抗期になった時、

「あの子も反抗期は大変だった」

と、夫のことを話してくれた姑。

「ごめんね。あの子があんなだから、孫たちまで」

姑はいつも茉莉子の味方だった。でも、今は認知症が進み、施設で過ごしている。

そして、家族はバラバラ。息子たちは、一人で大きくなったつもりなのか、一人、一人、大学進学、中学進学と進学を理由に家を出て行った。

最後には、夫が希望して単身赴任。

残された感しかなかった茉莉子。

想い出の場所に来て、感傷的になった茉莉子。小さかった息子たちの可愛い笑顔を想い出していた。
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