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混浴露天風呂・痴漢ワニに囲まれて
第4章 邂逅
「茉莉子さんが母親だったら、俺、絶対、毎晩、学校で何があったかとか、進路のことだって、相談するよ」

将星は、自分の怖い母親を思い出して身震いした。茉莉子にもその様子はわかった。子供に身震いさせるほどの母親…。ママ友でそういうタイプがいたから想像がつかないわけではなかった。

「そうだ。今晩だけ、茉莉子さん、俺たちの母親になってよ」

壮介が言い出した。

「え?」

驚く茉莉子に、

「それ、いいな。茉莉子さんみたいな優しいお母さん。憧れる」

と、遠い目をする将星。

「賛成。賛成。俺も、賛成」

征人がなぜか、ガッツポーズをしながら茉莉子の周りを飛び跳ねた。息子たちから疎外されている感覚しかなかった茉莉子。3人の態度は、嬉しいを通り越して、涙が溢れた。

息子達がこんなだったら…。もっと、私の人生は違ったかもしれない。子供たちの態度に苦悩を通り越して、懊悩してきた茉莉子。

「どうしたの?」

壮介が茉莉子の目から涙が零れるのを見て慌てて、訊いた。実際、泣くことが想定外だった。

それは、将星、征人も同じだった。

「あ、ごめんなさい。『お母さん』と言われるとは思わなかったから」

茉莉子が答えたとき、ちょうど、宿の前に戻ってきていた。

女将や仲居が待っていた。宿の玄関の時計を見ると、午後4時。まだ、夕食まで2時間もあった。

階段を登り、茉莉子は自分の部屋に、3人は3人の部屋に戻った。



「茉莉子さんが『お母さん』って言葉にあんなに反応するとは思わなかったな」

壮介が言うと、

「俺にはわかるよ。多分、息子たちとうまくいっていないんだよ」

将星が話した。将星自身、母親とはうまくいっていなかったから、わかったことかもしれない。

「それはあるだろうな。息子とうまくいっていなくて、『お母さん』と言われることもないのかもしれない」

征人も、なんとなく想像できるようで、話した。

「俺はデブの母親が嫌い。醜いから近寄るだけでキモい」

壮介が笑った。
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