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混浴露天風呂・痴漢ワニに囲まれて
第2章 旅立ち
帰宅後、アルバムを取り出し、家族旅行の写真を見返した茉莉子。

幼かった息子たちや、今は亡き舅。今はバラバラに生活している家族全員が揃った写真。懐かしく見ていると、また、あの温泉宿に行きたくなってきた。

姑が手渡してくれたお金もある。

インターネットで調べると、今もその温泉宿はあった。元々鄙びた感じの温泉宿だが、さらに鄙びた感じになっていた。

口コミは、4.0と無難。写真には70歳代の夫婦と、スタッフ。あの頃のまま10年が過ぎたという感じ。

湯けむりに夕陽の露天風呂。朝霧が光る露天風呂。岩風呂だけだった露天風呂に、檜の露天風呂が追加されて、景色を楽しむ用のガーデンソファーなどもあって、少しリゾート気分も味わえる雰囲気になっていた。

連絡先を確認して、予約の電話をした茉莉子。

電話口には声の雰囲気だけで高齢者とわかる女性。要件を伝えると、予約が取れた。結構、空いているらしく、前後の日程も部屋が空いていると聞いた茉莉子。

勤務先の定休日の前日の夜から1泊2日と思っていたけど、有給休暇を消費するように言われていたことを思い出した茉莉子。

翌日の勤務後に、上司に話すと、

「珍しいね。でも、有給休暇は使ってもらわないと困るからね。そのあたりなら繁忙期でもないからいいよ。どうせなら、まだまだある有給休暇だから、ゆっくりしてきたら。もし、延長なら連絡をしてくれればいいよ」

と、許可が下りた。梅雨時だからか、もっと休んでもいいという感じだった。温泉宿に再度、連絡を入れて定休日の夜も予約を入れた茉莉子。

用意をバックパックに詰めて、その日を待った。

やってきたその日の朝、茉莉子はバックパックを背負って、家を出た。
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