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混浴露天風呂・痴漢ワニに囲まれて
第7章 泡盛
さらに、いろいろな話が続いた。

壮介が、

「息子さんは、どの科の医師を目指しているのですか?」

と、茉莉子に訊いた。話の展開についていけていない茉莉子。そもそも、医学部に行くとも知らされていなかった。だから、どの科を目指しているとかも知らない。

「ごめんなさい。息子とはそういう会話もないから。というより、医学部を受験することも知らなかったのよ」

茉莉子が話すと、

「そうなんですか。さすがに、進学は親と相談すると思ったのに」

と、驚く壮介。

「うちなんか、内部進学で、医学部を狙うと、成績最上位が必須だから、成績表や通知表のたびに、『絶対医学部よ。わかっているの』ってダメ出しされて、『櫻井君はどんな感じなの。負けたらダメよ』『鈴木君は?何点だったの?』って、幼馴染にも負けるなって嗾けられて」

と、将星が話すと、

「一緒、一緒。無茶苦茶詰められたよな。『何のために小学校から通っていると思っているの。医学部一択よ!』とか、言われて」

と、征人も応じた。

「そうですよ。親の圧が凄かった。今でこそ、少し解放されたけど、今度は、どの科の医師になるかが重要らしくて」

壮介が説明した。

「どの科?」

茉莉子が訊くと、

「そう。開業しやすくて、稼ぎがいい科は何科だとか。母親は美容整形外科がいいって言うですが、でも、そういう考え方をしている先輩も多くて、実際、なった先輩も多いから、過剰供給になって、開業しても共倒れでは意味がないし」

壮介が具体的に説明した。

「そもそも、医師を目指すって、外科、救命救急のイメージだったんですが、実際、先輩の話を聞くと、ブラックだなって」

と、征人が話した。

「そうだよな。救命救急という時点で、ヤバいのに、それが助かって当たり前みたいな感じで一般の人は思っているし、勤務体制だって、高齢化で倒れる人とかも増えているのに、現場は人手不足で回らないとか聞いたら、向こうは勧誘のつもりでも、こっちは逃げたくなるよ。でも、母親は、『需要は間違いなくあるし、開業資金を考えなくてもいいし、ずっと務められるわ』って、こっちの身体の心配してくれよって感じ」

と、将星も話した。
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