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混浴露天風呂・痴漢ワニに囲まれて
第7章 泡盛
「所詮、俺の母親は、息子が医者になったと誇りたいだけ。要するに、ママ友にマウントをとりたいだけ。それで必死に勉強させられる俺ってなんなん?って感じ」

と、将星が苦笑いした。

「みんな同じさ。医学部に入って、医者になれっていう母親なんて、そういうことなんだよ。てっきり、医学部に来ているヤツってみんな、俺たちみたいに、親の自己満足のために勉強したんだって思っていたけど、茉莉子さんの息子たちみたいに違う場合もあるんだね」

征人も応じつつ、茉莉子の息子のことに触れた。

「その方がいいよな。たまたまなりたかったのが、医者だったっていうの。なれ!って言われ続けて、なりたいわけでもないのに、なるより、絶対、いいよ」

壮介は、頷きながら話した。

「そうだな。俺の母親が茉莉子さんみたいだったら、もっと他の進路もあったかもしれない。だいたい、俺って、好きな教科からすると文系なんだよな…」

将星が言いながら、頭を掻いた。それは、壮介も征人も知っていた。歴史小説が好きで、歴史と読書が趣味の将星。多分、名前が影響しているのかもしれないが、歴史上の武将が好きな将星。

「それは俺も同じ。俺は理系だけど、本当は、機械工学がしたかった。バイクも好きだし、バイクメーカーに就職したいって子供の頃は思っていたから」

壮介が話すと、将星や征人も頷いた。

「俺は、別に夢なんてなかったし、なりたいものもないから、『医者になれ』と言われて、目指してきたけど、なんか違うって今は思っている。世の中には、もっと楽になれて、もっと楽に金儲けできる職業があるのに、なんで、こんなに努力して危険で、儲からない仕事をしないといけないのかって思っているよ」

征人が言って、みんなの顔を見た。

「そうなのね。なりたいものを目指した結果が、医学生ではなかったのね」

茉莉子が3人に話しかけた。親の見栄のために…。そんな言葉が頭をよぎったが、敢えて言わなかった。

「おい、将星。酒、飲もうぜ。持ってきたんだろ。茉莉子さん、もう、この話は止めよう。気分が滅入るから」

壮介がそう言うと、将星が、

「そうだな」

と、言いながら一升瓶を椅子の下から出した。お茶が入っていた湯呑に、自分で注ぐ壮介。
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