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混浴露天風呂・痴漢ワニに囲まれて
第7章 泡盛
「どうだこうだ言っても、母親を除外して、父親と息子だけで決めるって、聞いていてムカつく。いくら俺がデブの母親が嫌いでも、父親とだけ話し合って何かを決めたことって、外食の時くらいしかない」

壮介がそう言うと、

「ま、外食は、どうでもいいけど、進学はないよな」

と、征人も応じて、

「旦那さん、大丈夫?」

と、将星が溜息を吐いた。

「大丈夫じゃないだろ。息子たちの進路を勝手に決めて、単身赴任するなんて。そもそも、その単身赴任って、相談あったの?」

壮介が茉莉子の顔を見て訊いた。茉莉子は顔を左右に振った。相談なんてなかった。決まってから、決まったと伝えられただけだった。

「それもおかしい」

「そうだよな。勝手になんでも決める旦那って、超亭主関白っていうか、昭和か!」

「旦那さん、マジで何歳なの?老害だよ」

征人、将星、壮介が次々に夫を批判した。茉莉子が、

「57歳よ」

と、だけ答えた。

「っていうと、バブル世代だから、バブル脳で逝っちゃっているんじゃない」

「だよな。男女共同参画社会とか、そういう言葉も知らないんじゃない」

「というか、女性蔑視だよな。夫婦で話し合わないで、息子たちと男ばかりで物事を決めるとか」

さらに、ヒートアップする3人。アルコールの影響もあるのか、声も大きめ。

「そうなのかもしれないけど、わたしが頼りないから…」

茉莉子が夫や息子をフォローしようとしたが、

「頼りになるかならないかじゃなくて、家族なんだから、話し合う場に呼べって話ですよ」

「そうそう。無視してってイジメじゃん」

「同世代で、同じ医学生だけど、息子さんにムカついてきた」

「いや、俺は旦那さんの方にムカつくけど」

「何言ってんの。母親を守るのは息子の務めだろうが」

「って、お前、母親が嫌いだって」

「だ、か、ら、それはあんな母親だからだよ。茉莉子さんみたいな母親だったら、絶対、守る!」

「熱くなるなって。言いたいことはわかるけどな。ま、旦那も旦那なら、息子も息子。『DNAウソつかない!』って感じだろ」

「それ、『インディアン、嘘つかない』のパクリじゃん。しかも、それいつの言葉?聞いたことはあるけど」

話し続ける3人。
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