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混浴露天風呂・痴漢ワニに囲まれて
第7章 泡盛
ここにいる4人が似た境遇。
世間から羨ましいと言われながら、実は、家の中は寒風が吹き荒れている。
一通り話すと、沈黙…。それぞれが、自分の今までに想いを馳せた。
壮介は、思い出していた。小学校の高学年、学校が終わり、学校の自習室や塾で勉強をして、午後9時過ぎや午後10時前に帰宅すると、母親は既に就寝。
「夕飯は?」
壮介が訊くと、
「起こさないでくれる…寝ているのに…夕飯?冷凍庫にあるわ。好きなのチンしない。じゃあね」
と、言って寝る母親。中学になると、諦めた。学校が終わり、塾で勉強して帰ると、勝手に冷凍庫から食べたい冷凍食品を出して、チンして食べた。今から思えば、健康的には最悪だったと思う。あと、母親が箱買いしていたカップ麺。母親はカップ焼きそばが好きだった。だから箱買い。それをたまに食べていた壮介。母親の手料理なんて記憶にない。一緒に食べた記憶もほとんどない。一緒に食べたのは外食だけだった。
周囲には毎日のように母親のお弁当を持ってくる生徒がいた。羨ましかった。そして、自分が惨めだった。母親が夕飯を作ってくれても、一緒に食べない茉莉子の息子に怒りが湧いた。
将星も沈黙の中で、過去に思いを馳せた。小学校の高学年から母親のヒステリックは始まっていた。学校だけでは足らないと進学塾に通わされ、そのコースで一喜一憂する母親だった。テストがあるたびに100点に何点足りないと怒鳴られ、自己肯定感はまったくなかった。それは、中学になっても変わらなかった。高校でも。今でも自己肯定感が低いまま。何をするにもオドオドする癖が取れない。
夕飯の話で思い出したのは、テストの点数が少しでも悪いと、罰として食事を抜かれること。どうせ、冷凍食品だったが、それすら抜かれ、フラフラになりながらテストを受けた記憶が蘇った。母親から優しい言葉のひとつも掛けられた記憶はない。
手作りの夕飯ができたと呼ばれても冷めるまで降りてこないという茉莉子の息子の話を聞いて、羨ましかった。俺にも、そんな優しい母親がいれば、人生、違っただろうと思った将星。
征人の記憶は、父親の逆鱗だった。母親が余念なく化粧する。そして、化粧が崩れるのを嫌って何もしない。掃除しない家。誇り舞う家で、冷凍食品をチンして食べたあの頃。あまりの汚さに父親がブチ切れて怒鳴り、ルンバを買ってきた。
世間から羨ましいと言われながら、実は、家の中は寒風が吹き荒れている。
一通り話すと、沈黙…。それぞれが、自分の今までに想いを馳せた。
壮介は、思い出していた。小学校の高学年、学校が終わり、学校の自習室や塾で勉強をして、午後9時過ぎや午後10時前に帰宅すると、母親は既に就寝。
「夕飯は?」
壮介が訊くと、
「起こさないでくれる…寝ているのに…夕飯?冷凍庫にあるわ。好きなのチンしない。じゃあね」
と、言って寝る母親。中学になると、諦めた。学校が終わり、塾で勉強して帰ると、勝手に冷凍庫から食べたい冷凍食品を出して、チンして食べた。今から思えば、健康的には最悪だったと思う。あと、母親が箱買いしていたカップ麺。母親はカップ焼きそばが好きだった。だから箱買い。それをたまに食べていた壮介。母親の手料理なんて記憶にない。一緒に食べた記憶もほとんどない。一緒に食べたのは外食だけだった。
周囲には毎日のように母親のお弁当を持ってくる生徒がいた。羨ましかった。そして、自分が惨めだった。母親が夕飯を作ってくれても、一緒に食べない茉莉子の息子に怒りが湧いた。
将星も沈黙の中で、過去に思いを馳せた。小学校の高学年から母親のヒステリックは始まっていた。学校だけでは足らないと進学塾に通わされ、そのコースで一喜一憂する母親だった。テストがあるたびに100点に何点足りないと怒鳴られ、自己肯定感はまったくなかった。それは、中学になっても変わらなかった。高校でも。今でも自己肯定感が低いまま。何をするにもオドオドする癖が取れない。
夕飯の話で思い出したのは、テストの点数が少しでも悪いと、罰として食事を抜かれること。どうせ、冷凍食品だったが、それすら抜かれ、フラフラになりながらテストを受けた記憶が蘇った。母親から優しい言葉のひとつも掛けられた記憶はない。
手作りの夕飯ができたと呼ばれても冷めるまで降りてこないという茉莉子の息子の話を聞いて、羨ましかった。俺にも、そんな優しい母親がいれば、人生、違っただろうと思った将星。
征人の記憶は、父親の逆鱗だった。母親が余念なく化粧する。そして、化粧が崩れるのを嫌って何もしない。掃除しない家。誇り舞う家で、冷凍食品をチンして食べたあの頃。あまりの汚さに父親がブチ切れて怒鳴り、ルンバを買ってきた。

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