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茉莉子45歳【Ⅰ】 混浴露天風呂・痴漢ワニに囲まれて
第8章 ワニ
茉莉子の警戒心のなさというか、無分別な原因は、育った環境にあった。祖父、父が早くに他界。実業家だった祖父の後を継承した祖母、そして、母。兄弟は歳の開いた姉だけ。しかも、小中高大の16年間、女子大附属から女子大というエスカレーター進学で女子校育ち。

しかも、地味で男子との関りもなく、視線を意識することもなく育った。結果、男子との距離感が掴めないままに今に至っていた。

茉莉子の夫は、その辺りのことを把握していた。茉莉子が就職し、配属になった先の上司だった茉莉子の夫。

その距離感が近いことに、最初に驚いたのは、この夫だった。と言っても、夫もその距離感が自分への好意だと当初は勘違いしていた。好意に好意を返している間に、恋愛感情が相互に湧いてきて、そのまま男女の関係になり、『できちゃった婚』に至った。

モテなかった夫にとって、茉莉子の超絶近接距離は、結果的に結婚に至る架け橋だった。それだけに、今更、その距離感を否定するようなことも言えず、茉莉子を専業主婦にさせ、世間と隔離し、働き始める時も、介護関係という職場に女性が圧倒的に多く、関わる人間も、女性高齢者が多いところに誘導した。

結果、さらに、異性との距離感が歪なまま、茉莉子は今に至っていた。

その超然近接距離は、息子達との関係でも同じだった。息子達が小さいうちには、それでも良かった。幼稚園や小学校低学年までは。

「可愛い」

を息子達に連呼し、ハグして、抱っこして、可愛がっていて、息子達も懐いていたが、思春期になると、息子達は茉莉子から離れていった。

距離感が近すぎて、恥ずかしいという感情が芽生え、さらに成長すると、むせるような母親の女の芳醇な香り、そして色気、艶が兄弟を襲った。母親なのに、老いることなく、年齢差を縮めてくる茉莉子。

バカな教師は、

「お姉さんですか?」

と、茉莉子に訊く始末…。息子達が母親が学校に来ることを嫌がったのは、それだけではなく、同級生の反応。男子校だった息子達。その同級生も男子。

茉莉子が学校に顔を出すと同級生男子が色めき立つのだった。

「お前のお母さん、最高だよ」

「いいよな。あんな綺麗な母親を眺めながら飯が食えるなんて」

「たまんねぇ!オナネタが身近にあって羨ましい」

男子校だけに露骨だった。
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