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混浴露天風呂・痴漢ワニに囲まれて
第3章 想い出
「そうだろう。顔立ちも悪くないし、さっき俺たちの方を見たときの雰囲気も男に興味があるという感じじゃなかった」

「そうだな。俺たちを見て軽く首を傾げただけで、それ以上、視線を送ってこなかった」

「あの3人は、ホテルですれ違ったときから、視線が怪しかった。今から思えば、こっちがワニじゃなくて、あの3人がワニだったんじゃないの」

「かもしれないな」

「アレはそんな感じじゃない。マジで抵抗されるかもしれないぜ」

「そうだな。それはそれでいいんじゃん」

「バカ。警察にでも駆け込まれたらシャレにならないぜ」

「ま、様子を見ることだ。とりあえず、宿に空きがあるか確認して予約を入れようぜ」

「大丈夫だと思うが、不便だし、あんな感じだからな」

と、笑いながら鈴木征人がスマートフォンで宿の名前を入れて検索して、電話を発信した。

「今夜なのですが、1室3人で泊まりたいのですが、いけますか?」

電話の向こうの声を聞く鈴木征人。頷いて、櫻井壮介と清水将星に親指を立ててOKの合図をした。

「わかりました。鈴木征人と他、二名です」

と、名前を伝えて予約をした3人。

「今晩は他には?」

と、探る鈴木征人。

「そうですか。わかりました」

と、言って通話を終えた。

「あとは、1室1人の利用だけらしい。アレだろ」

「だろうな」

「あの角を曲がれば間違いない」

そう言いながら、茉莉子の歩みを確かめる3人。3人から茉莉子までは、200メートルほど離れているが、ほぼ直線の川べりの道。見通しはいい。バイクを橋を渡った先の停留場の横に停めて、高くなった橋の欄干にもたれながら、話しつつ、歩いていく茉莉子の後姿を眺めていた。

「曲がった」

「となると、あの宿にいるのは俺達とアレだけだぜ」

「そうだな。ジジイとババアは、10時過ぎには、近くの家に帰る。それ以外のスタッフはもっと早くに帰るからな。宿には、俺達とアレだけ」

「朝まで楽しめるってか」

「抵抗されなければな」

「抵抗するかな」

「するだろうな。あの手の女はガードが堅い」

「なぜ、わかる?」

「一人旅で結婚指輪を外さない女だぜ。魚心があれば、指輪は外すだろ」

「なるほどな」

「貞操観念が強いってことか」

「アルコールでガードが弛むかな」

「ま、用意しておこうぜ」
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